当日の天気が晴れだからと言って、防水機能の服だけで登山をしようとしていませんか?山を登る際に、登山用のレインウェアを持って行かないのは大変危険です。
一方で、登山に詳しくないと「どんなものを選べば良いか分からない。」「市販の雨具やレインコートではダメなのか?」など不安ですよね。
この記事では登山用のレインウェアの選び方だけでなく、初心者向けのおすすめの商品も紹介しています。読み終わる頃には、一人で登山用のレインウェアを買えるようになっているので、ぜひ参考にしてみて下さい。
防水加工の服だけではダメ?登山でレインウエアが必要な理由
登山ではふもとと山頂で天気が異なったり、天候が変化しやすいことから突然の雨に見舞われることがあります。そのため、スポーツ用のウェアや防水加工がされている服だけで山に登るのはとても危険です。
レインウェアは靴、ザック(登山向けのリュック)に次いで、登山に欠かせない「三種の神器」と呼ばれています。初めて山を登る人だけでなく、まだ持っていない場合は必ず揃えましょう。
登山で市販のビニール製のカッパや雨具はNG
「レインウェアが必要なら、市販のカッパや雨具でも良いのでは?」と思いませんか。実はカッパや市販の雨具は登山をする上で適切ではありません。
なぜなら、ビニール製のカッパや雨具は基本的に上着だけで、下から風のあおりを受けた雨水を防げないからです。下半身の衣服が濡れてしまうと体温が奪われてしまい、最悪の場合は低体温症になってしまいます。
レインウェアは市販のカッパや雨具よりも高価ですが、安全に楽しむためにも登山向けのものを選びましょう。
防水だけじゃない!登山向けレインウェアの選び方
レインウェアは登山用のものを選ぶのが最適です。登山用のレインウェアを選ぶことは、初めての登山や初心者には堅実な選択です。一方で、登山に必要な機能が備わっていれば、登山用のものでなくても問題ありません。
日頃から登山をしていなかったり、今後もあまり登山をする予定のない人の中には、なるべく登山グッズにお金をかけたくない人もいるのではないでしょうか。
そこで重要になるのが、レインウェアの性能とデザインです。この2つは登山用レインウェアはもちろん、登山用ではなくても登山に持っていけるレインウェアを選ぶ上で欠かせません。
登山に必要なレインウェアの性能
登山向けのレインウェアには、防水透湿性という機能が欠かせません。これは、雨水の侵入を防ぐ防水性と、レインウェア内にある汗むれを外に放出する透湿性を合わせた機能のことです。
一方で、防水透湿性が備わっていれば安心という訳ではありません。登山に求められる性能の基準を満たしている必要があります。その基準が耐水圧と透湿度です。
耐水圧
耐水圧は防水性の性能の高さを表しています。登山に必要な耐水圧は20,000mm以上で、これはウェアの素材1cm四方の上から、高さ20m(20,000mm)分の水圧をかけても耐えられるという意味です。
耐水圧20,000mmは嵐に耐えられるとされています。この数字がどのくらいの強度なのかというと、体重75kgの人が座った場合の素材1cm四方にかかる耐水圧が2,000mmです。
2,000mmはやや強い雨に耐えられる程の強度なので、耐水圧20,000mmのレインウェアなら登山中に嵐に遭遇してしまっても中の衣服が濡れることはありません。
透湿度
透湿度は汗による蒸れを外に逃す性能のことで、蒸れにくさを表しています。登山に必要な透湿度は10,000g/㎡/24hで、これはウェアの生地1㎡あたり24時間で10ℓ以上の水分を放出するという意味です。
人は安静にしている状態でも、1時間あたり約50gも汗をかいています。軽い運動をした場合は約500g/1h、激しい運動の場合は約1,000/1hもの汗をかくのです。
そのため、透湿度10,000g/㎡/24hは、長時間歩き続ける登山者にとって蒸れにくく快適なレインウェアと言えます。
登山向きなレインウェアのデザイン
レインウェアが登山に向いているか知るには、デザインにも注目しましょう。以下の4つのデザインを押さえていれば、登山向きと言えます。
- 上下セット
- 調節可能なフード
- 靴を履きながら履けるズボン
- 目立つ色
上下セット
登山に持って行くレインウェアは、ジャケットとズボンの上下セットもしくは両方あることが大前提です。特にズボンは、休憩中に腰掛けたり、風によって吹き上がった雨水から下半身を守ります。
調節可能なフード
登山では傘をさせないため、雨が降ってきたらフードを被ります。店頭やネットで購入する際は、フード周辺に調節用の紐や面テープがあるかどうか見ましょう。
一方で、フードが大きすぎると上下左右の視界が遮られてしまうので注意が必要です。
靴を履きながら履けるズボン
レインウェアのズボンは大きめを選びましょう。登山中に着脱しやすいのはもちろん、ズボンの裾が短いと靴に雨水が入ってしまうからです。
登山用メーカーでしたら、靴を履いたままでも履きやすいように作られているので特に気にする必要はありません。
登山用メーカーでない場合は、ズボンの裾にファスナーや裾を絞るテープがあるものを選びましょう。
目立つ色
レインウェアは、はっきりとした目立つ色のものを選びましょう。雨や霧が出ると視界が悪くなり、視認性が低くなるからです。
視認性が低いと、万が一遭難した際に発見が遅くなる原因になります。レインウェアを選ぶ時は、カラーバリエーションにも注目しましょう。
安心安全でコスパも◎ |1 Columbia
コロンビアは登山メーカーのブランド名です。その中でもシンプソンサンクチュアリⅡレインスーツは登山に必要な機能性・デザインの全てを兼ね揃えています。
また、上下セットの商品の中では、他の登山メーカーよりもお求めやすいため、初心者やコスパ重視の人におすすめです。
フード | アジャスター(調節可能な)コード有り |
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ズボンの裾 | ファスナー、面ファスナー(マジックテープ)有り |
ファスナー | 全てのジッパーにフラップ付き(ジッパーが前から見えない仕様) |
カラー | メンズ:カラフル×ブラック、ネイビー×ブラック、レッド×ブラック、ブラック
レディース:ブラウン×ブラック、ライトブルー×ブラック、ピンク×ブラック |
3層の防水透湿性 |2 HELLY HANSEN
ヘリーハンセンもまた登山メーカーで、今回紹介するヘンリーレインスーツは耐水圧40,000mm以上、透湿度20,000g/㎡/24h以上もある高性能な登山用レインウェアです。
さらに、このヘンリーレインスーツにはポリウレタン樹脂の劣化(加水分解)が起こりにくい加工が施されています。
性能が高く長持ちするため、これから登山を趣味にしていきたい人にピッタリです。
フード | アジャスターコード有り、インフード付き(収納可能) |
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ズボンの裾 | ファスナー有り |
ファスナー | 全てのジッパーにフラップ付き(ジッパーが前から見えない仕様)
手首に面ファスナー有り |
カラー | ユニセックス:ライトブルー×ブラウン、ライトピンク×ブラウン、ライトブルー×ネイビー、セージ×ブラック、ブラック×ブラック |
安くて防水透湿性もバッチリ!|3 WORKMAN
ワークマンは登山メーカーではありませんが、性能は登山メーカーに負けていません。4WAYストレッチレインスーツは、耐水性20,000mm、透湿性25,000g/㎡/24hもの防水透湿性が備わっています。
デザイン面は登山メーカーと比較すると物足りない点もありますが、晴天で低山を登る場合に購入するのがおすすめです。そのため「なるべく価格を抑えたい」という人に丁度良いでしょう。
フード | アジャスターなし/インフード付き |
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ズボンの裾 | 言及なし |
ファスナー | 袖に面ファスナー有り |
カラー | メンズ:ベージュ×ブラック、オレンジ×ブラック、オリーブ×ブラック、ブラック×ブラック
レディース:ベージュ×ブラック、ピンク×ブラック、パープル×ブラック |
防水加工された服なら晴天登山でも良いのか?
初心者は登山向けのレインウェアを揃えるのがベターですが、晴天登山でしたらウィンドシェルという選択もあります。
ウィンドシェルはウィンドブレイカーのことで、登山向けのレインウェアよりも軽量で非常にコンパクトです。防水透湿性も小雨程度でしたら性能に問題はありません。
しかし、ウィンドシェルは登山用のレインウェアを既に持っていたり、ある程度山に慣れている人向けであることを肝に銘じておきましょう。
登山用にも普段の服にも|THE NORTH FACE
ウィンドシェルの魅力は、何よりも普段使いができる点です。街中でファッションに取り入れている人もいるように、レジャーに縛られない使い方ができます。
商品によっては価格がピンキリですが、THE NORTH FACEのベンチャージャケットは防水透湿性はもちろん、登山向けのデザイン性も兼ね揃えています。
フード | アジャスターコード有り |
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ズボンの裾 | アジャスターコード有り |
ファスナー | フロントジップに止水加工 |
カラー | メンズ:レッド、ライトグレー、ベージュ、ブラック
レディース:ブルー、ベージュ、ダークグリーン、ブラック |
防水透湿性がレベルアップ!登山がより快適になる服とは?
登山向けのレインウェアは防水透湿性に優れていますが、ウェア内の蒸れが完全になくなる訳ではありません。
登山用のウェアは速乾性が高いため、靴・ザック・レインウェアの「三種の神器」に加えて登山用の物を用意しておくと安心です。
登山用のウェアでなくても、速乾性のある服であれば問題ありません。手持ちのスポーツ用ウェアや、素材がポリエステル化繊またはウール素材のTシャツであれば代用可能です。
ただし、綿は吸水性が高い一方で、速乾性と保温力に欠けるため、登山に着て行くのはやめましょう。
服の下に着てしっかり保温|finetrack
登山用ウェアの下に着るアンダーウェアにも、快適な登山のためのポイントがあります。それが、ドライレイヤーです。
ドライレイヤーは機能性アンダーウェアのことで、ウェア内の蒸れを吸水し、汗による服のベタつきを防ぎます。
ファイントラックのドライレイヤーは登山用の物なので、服のベタつきだけでなく長時間登山による汗冷え防止にも打ってつけです。
汗かきな人や汗冷えが気になる人は、ドライレイヤーも揃えておきましょう。
まとめー防水透湿性と服のデザインが重要!ー
登山向けのレインウェアには、雨水の浸入を防ぐだけでなく汗冷えから体を守る防水透湿性と、登山に適した服のデザインが備わっていることが重要です。
比較的安価な登山向きレインウェアも紹介しましたが、登山用のものは他のレジャー向けのものより高価な傾向があります。初心者でも特に初めて登る人は価格よりも機能性で選ぶのが賢明です。
登山は身一つで自然を相手にするレジャーなので、急な天候の変化にもちゃんと対応できるよう「備えあれば憂いなし」の心構えで行きましょう!