近年ペットとしての人気も高まっているウーパールーパーですが、名前はよく聞いても生態や飼育方法についてはわからないという方も多いんじゃないでしょうか。
「何となく興味はあるけどよくわかっていない」というような状態から飼育することや、そもそも生き物を飼育する余裕があるのかわからないのは不安ですよね。
この記事ではウーパールーパーについて生態から飼育方法、予算まで幅広く解説していきます。最後まで読んで基本をおさえれば、ウーパールーパーと一緒に楽しく暮らしていけるようになるでしょう!
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ウーパールーパーについて知ろう【飼育方法の前に】
実はウーパールーパーという名前は正式名称ではありません。正確には「メキシコサラマンダー」といい、オオサンショウウオの仲間に当たります。そんなウーパールーパーについて、まずは概要を知っておきましょう。
生態
「メキシコサラマンダー」の名前の通り、もともとメキシコに生息していました。メキシコは日本と比べて一年間の気温の変化が小さいという特徴があるので、それだけ気温の変化には敏感になります。
皆さんがイメージするウーパールーパーは実は幼体であって、成体になることは滅多にありません。これは幼形成熟という生態で、これによって身体の再生機能にも優れています。
性格
あの何とも言えない表情やゆったりとした動きが特徴的ですが、その印象の通りとても穏やかで落ち着いた性格の生き物です。
ただ飼育環境が悪くなると激しく動き回ることもあるので、その場合は環境を整え直してあげましょう。
ウーパールーパーって何食べるの?
ウーパールーパーは見た目とは裏腹に肉食性の生き物で、野生の個体は口に入るものなら何でも食べてしまうと言われています。では飼育下ではどんなものを与えるといいのでしょうか。
エサの種類
飼育するうえでは人工飼料を中心に、バランスの取れたエサを与えるようにしましょう。その他だとイトミミズや赤虫などもありますが、虫が苦手な方は人工飼料のみでも問題ありません。
エサのあげ方
基本的に毎日1回、同じ時間帯にあげるようにしましょう。夜行性の性質があるので夜の消灯前などのタイミングが理想です。また食べ残してしまうと水が汚れてしまうので量にも気を付けましょう。
また、目の前に沈むようにあげるのもコツです。先述のようにおとなしい性格なので、エサをあげても気づかないこともあります。そんなところも可愛らしいですね。
もし食べきらないようであればすぐにスポイトやピンセットなどで回収しましょう。食べ残しが残っていると水質が悪くなって健康状態に異変が起きてしまうことがあります。
「何が必要?」ウーパールーパーの飼育道具
ウーパールーパーの飼育には、最低限必要なものとあったら便利なものがあります。それぞれ見ていきましょう。
最低限必要なもの
- 水槽
- カルキ抜き済みの水
- エサ
- 水温計
これら4つは最低限必要です。水槽とエサは言うまでもないので深くは触れませんが、水槽は30センチ以上もの、エサは先述の通り人工飼料を揃えておきましょう。
まずカルキ抜きは水道水の塩素を中和するもので、水生生物の飼育には欠かせないものです。またウーパールーパーは水温に敏感なので、常に水温を確認するために水温計も欠かせません。
あったら便利なもの
- ろ過装置
- 隠れ家
- 砂利
- 水槽用クーラー/ヒーター
まずろ過装置については酸素の供給や水質の維持に使えます。まだ小さいうちはなくても問題ありませんが、大きくなるにつれて水を変えるのが手間になるのでろ過装置があると便利です。
暗いところを好むので隠れ家もあると嬉しいです。後退が得意ではないので、土管などの入り口と出口があるものを置いてあげるとさらに良いですね。
砂利には歩きやすくなったり水が安定するのであると便利です。ただエサと一緒に飲み込んでしまうこともあるので、排泄しやすいように粒の小さいものを選ぶようにしましょう。
水温を調整するには専用のクーラーやヒーターがあると便利です。もともと部屋にあるエアコンでも十分ではありますが、状況を見てクーラーやヒーターを使ってみましょう。
環境を整えてあげよう【水槽の手入れ方法】
ウーパールーパーに限らず水生生物を飼育する際は水質の維持が大切です。ここでは水質維持について2つの方法を紹介します。
どちらの方法をとるにしても、水をきれいにしてエサの食べ残しなどの汚れがないようにしてあげましょう。
換水法
基本的に毎日水を交換するやり方で、まだ小さい個体を飼育する場合に適しています。
水の量が多い場合は2日に1回程度でも問題ありませんが、その際の注意点として、新しい水を用意する際はカルキ抜きを忘れないようにしましょう。
ろ過法
こちらは熱帯魚などを飼育するときと同じようにろ過装置を設置するやり方で、バクテリアを利用して水をきれいにするやり方です。
新しい水を入れる際にはカルキ抜きをすることと一緒にバクテリアを入れること、砂利がある場合は砂利の掃除も忘れないようにしましょう。
ウーパールーパーは暑さに弱い?【温度の調整方法】
先述の通りウーパールーパーは暑さに弱い生き物で、適温は15∼25℃といわれています。近年は夏以外も30℃を超えるような日もあるので水温調整がとても大事です。
そのためにも水温計を用意したり、直射日光が当たらない位置に水槽を置くなどの対策が必要です。実際に飼育を始める前に水槽の水温の変化を確認しておくといいですね。
季節によってやり方は変わりますが、ウーパールーパーは変温動物なので少なくとも30℃以下の温度で維持できるようにしましょう。
エアコンなどで室温を調整するだけでも効果はありますが、夏場には水槽用のクーラーやファンを、冬場には水槽用のヒーターを使うのも効果的です。
どんな動物と一緒に飼育できる?【共生方法】
結論から言ってしまえば、ウーパールーパーを飼育する際は基本的に他の生き物や複数のウーパールーパーとの共生は難しいです。
というのもウーパールーパーはとても食欲が旺盛で、口に入るものなら手当たり次第に食べてしまうこともあります。まだ小さいころには共食いをしてしまうほどです。
目安として15センチ以上の個体であれば同じ水槽で飼育することはできますがそれでも事故が起こる可能性は否定できません。やはり1つの水槽では1匹のみの飼育にとどめておきましょう。
ウーパールーパー飼育の注意点
ウーパールーパーの飼育はそれほど難しいものではありません。とはいえしっかり管理をしていないと元気がなくなってしまうこともあるので注意は必須です。
ウーパールーパーは水質やエサなどの管理を徹底できていれば5∼8年は生きます。毎日決まった量のエサを与えて水温は15∼25℃には保ち、定期的に水を綺麗にすることを忘れないようにしましょう。
ちなみに原産国のメキシコではワシントン条約の規制対象になっていて、国外への流通が認められていません。なので日本国内で扱われているものは日本国内で繁殖された個体になります。
日本では規制はかかっていませんが、そうでなくても丁寧に愛情をもって飼育してあげるようにしましょう。もし何か異常があればすぐに専門医師に診てもらいましょう。
トラブルがあったらどうする?【対処方法】
飼育が難しくないとはいえ全くトラブルが起こらないとは限りません。もしウーパールーパーに何かあったら、両生類の診察も行っている動物病院に連れていきましょう。
以下に想定できるトラブルをいくつか紹介します。もし似たような状況になったら、これを参考にして対応してあげましょう。
- エサを食べない
- 水に浮いている
- 共食いをした
- カビが生えた
エサを食べない
ウーパールーパーは食欲が旺盛ではありますが、同時に絶食には強い生き物です。健康な状態であれば数日はエサがなくても問題ありません。
あまりにも多くの食べ残しがある場合は一度飼育環境を見直した方がいいかもしれませんね。水の汚れ具合や水温などを確認して、あまり良くないようであれば改善してあげましょう。
水に浮いている
見た目やイメージ的に、プカプカ浮いている様子は想像しやすいかと思います。ただ浮いているだけなら問題ありませんが、水槽を叩くなどの刺激を与えても変わらないようであれば注意が必要です。
刺激を与えても何の反応もないのであれば、体調や健康状態に異常が出ているかもしれません。すぐに飼育環境を見直して、それでも変わらないようであれば病院に連れていきましょう。
共食いをした
複数を同じ水槽で飼育していればいつ共食いをしてもおかしくないので、初めから複数飼育をしなければこうしたトラブルは起こりません。もし共食いがあればすぐに別々の水槽で飼育するようにしましょう。
先述の通りウーパールーパーは再生能力には優れているので、欠損した部分があっても再生することがほとんどです。ただし眼球や臓器など複雑な器官は再生しないので注意しましょう。
カビが生えた
カビに限らずウーパールーパーの体に起こる異常のほとんどは水質の悪化や水温の上昇によるものです。すぐに飼育環境を見直してあげましょう。
カビが生えた場合は専用の薬品を使うか、定期的に水を交換してあげることで改善される場合があります。
予算はどれくらい?【飼育費用】
ここまで解説してきたように、ウーパールーパーの飼育は環境を整えてさえいれば特に難しいことはありません。ではその環境を作るにはどれくらいの予算が必要なのでしょうか。最低限の予算は以下の通りです。
- 水槽:約4,000円
- カルキ抜き:約1,000円
- エサ:約800円
- 水温計:約200円
- ろ過装置:約3,000円
- 隠れ家:約3,000円
- 砂利:約2,000円
これらを揃えても1万円もかかりません。水道代やエサ代など定期的にかかるものはありますが、基本的に低コストで揃えることができます。
ウーパールーパー自体にも当然費用はかかりますが、種類や個体によって1,000円程度から数万円台まで幅広いので今回はあまり深く触れることはしません。
ウーパールーパーの飼育方法【まとめ】
ここまでウーパールーパーの飼育方法について解説してきましたが、ウーパールーパーは見た目通りの大人しい性格やコストの低さ、飼育のしやすさなど魅力が多いです。
名前は知っていても詳しくは知らない人も多いであろうウーパールーパーですが、思っているほど複雑で繊細な生き物ではありません。
「生き物を飼育する」ということを忘れずに毎日しっかり愛情をもってお世話をしてあげれば、あの何とも言えない表情で癒してくれることでしょう。