「水槽の立ち上げに必要な期間は?」「熱帯魚の投入時期はいつ?」と困っていませんか。
初めて水槽の立ち上げをする場合、立ち上げ期間や熱帯魚の投入時期の目安をはじめに、分からないことばかりですよね。
本記事では、水槽の立ち上げ期間の基本的な流れと、通常1ヶ月かかる立ち上げ完了までの時間を短縮する方法を解説します。
ぜひ、最後まで読んで熱帯魚との生活を1日でも早く楽しんでくださいね。
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水槽の立ち上げに必要な期間
水槽の立ち上げに必要な期間は、最短で1週間です。熱帯魚が生きていける最低限の「ろ過サイクル」が整い始めるには、1週間かかるからです。
「ろ過サイクル」が整うためには、「ろ過バクテリア」の働きが必要不可欠。
「ろ過バクテリア」とは魚の排泄物や餌の食べ残しから発生する有害物質(アンモニア)を分解しながら水を浄化するバクテリアのこと。水槽内の安全な環境をつくり出す役目を果たしている。
水槽を設置したら熱帯魚の餌を水槽に入れて、「ろ過フィルター」を1週間稼働させましょう。水槽内に「ろ過バクテリア」を繁殖させておくためです。
「ろ過バクテリア」が順調に繁殖すれば、1週間後に熱帯魚を水槽に投入できるでしょう。
水槽の立ち上げ期間は最短で1週間ですが、「ろ過サイクル」が整い水槽内の水質が安定するには1ヶ月ほどかかるのでご注意ください。
水槽の立ち上げ期間にすぐ生体を入れない理由
水槽の立ち上げ期間に熱帯魚をすぐに入れない理由は、水槽内の「ろ過バクテリア」の働きが安定しておらず、「ろ過サイクル」が整っていないからです。
水槽を立ち上げた直後は「ろ過バクテリア」が水槽内に定着していないため、水槽内の有害物質を分解できません。
つまり、水を安定的に浄化するサイクル(ろ過サイクル)が整っていないので、水質が不安定な状態が続き生体にとっては良い環境ではないのです。
水質が不安定な悪い環境下で熱帯魚を水槽の中に入れてしまうと、体調を崩し病気になることがあるので注意しましょう。
水槽の立ち上げ期間から熱帯魚を投入するまでの流れ
水槽の立ち上げ期間から熱帯魚を水槽に投入するまでの期間は最低1週間。また、水槽の立ち上げが完了し、水槽の中で熱帯魚を飼育できるまでには1ヶ月ほどかかります。その間の流れを以下の通りです。
- 【水槽立ち上げ期間】「ろ過バクテリア」を繁殖させる
- 【水槽立ち上げ期間】立ち上げ時の水の交換
- 【水槽立ち上げ〜熱帯魚投入前】水質検査
- 【水槽立ち上げ期間〜熱帯魚投入】1週間に1回ずつ熱帯魚を追加
- 【熱帯魚投入】熱帯魚を1〜2ヶ月かけて増やす
水槽の立ち上げ期間から熱帯魚を飼育するまでの流れを知ることで「どのタイミングで熱帯魚を水槽に投入できるのか」「立ち上げ期間中に注意するべき点」について把握することができるでしょう。
【水槽立ち上げ期間】「ろ過バクテリア」を繁殖させる
水槽を設置したら、水槽内に「ろ過バクテリア」を繁殖させていきます。熱帯魚を安全に飼育するには「ろ過サイクル」が整うために十分な「ろ過バクテリア」の量が必要だからです。
水槽を設置してから1週間は、熱帯魚を入れずに「ろ過フィルター」を稼働させて水槽内の水を循環させましょう。
「ろ過フィルター」が稼働すると水槽内に酸素が送られ「ろ過バクテリア」の繁殖を促進させるからです。
この時に熱帯魚の餌を少量だけ水槽に投入すると、餌を分解する「ろ過バクテリア」が繁殖しやすい環境作りが簡単になります。
【水槽立ち上げ期間】立ち上げ時の水の交換
水槽の立ち上げ時に水を交換すると有害物質を物理的に取り除けるので、水質を簡単に安定させることができます。水槽を立ち上げてから2週間は基本的に水の交換は不要です。
熱帯魚を水槽に投入するのは、水槽を立ち上げてから1週間後。排出される有害物質と「ろ過バクテリア」の増殖状況を考えると、2週間は水が急激に汚れることがないからです。
水槽内の水を交換する場合、水の量は水槽の3分の1程度、交換の頻度は2週間に1回にするとよいでしょう。
交換する水の量や頻度を先述したものより多くすると「ろ過バクテリア」の繁殖と定着に悪影響を及ぼします。結果的にいつまでも水質が安定しない原因につながります。
【水槽立ち上げ〜熱帯魚投入前】水質検査
水槽の立ち上げから1週間経過し熱帯魚を投入する前に、水質検査で「ろ過システム」が整ってきているかを確認しましょう。
水槽内の水質を計測した時に、硝酸塩だけが検出されアンモニアや亜硝酸が検出されなかった場合は「ろ過バクテリア」の働きが安定し「ろ過システム」が整ってきた証拠。
硝酸塩濃度は、メーカー販売されている試薬形式の測定キットや試験紙で計測が可能。アクアショップやペットショップ、オンラインショップなどで手に入ります。
検査キットの中には、硝酸塩濃度だけではなく6項目の水質検査ができる「テスト6in1」というものがあります。初めての人にとっては、扱いやすいうえに多項目の水質検査が一度にできるのでおすすめですよ。
理想的な硝酸塩濃度は20mg/L以下。検査キットによって若干の誤差はありますが、目安にしてみてください。
水槽内に発生する有害物質について
生体にとって有毒物質であるアンモニア、亜硝酸、硝酸塩の特徴について簡単に説明します。
これらの特徴を知っておくと、水質検査や水槽管理がしやすくなるでしょう。水槽の温度や硬度によって数値の前後はありますが、有害物質の濃度数値の目安は以下の通りです。
アンモニア濃度数値 | ||
最適値 | 多い値 | 危険値 |
〜0.0mg/L | 0.0〜 0.02mg/L |
0.02〜mg/L |
亜硝酸濃度数値 | ||
最適値 | 多い値 | 危険値 |
〜0.0mg/L | 0.0〜 0.9mg/L |
0.9mg/L |
硝酸塩 | ||
最適値 | 多い値 | 危険値 |
〜20mg/L | 20〜 100mg/L |
100〜mg/L |
参考出典元:株式会社セラジャパン水質ガイド
【有害物質の特徴】アンモニア(毒性:強)
熱帯魚の排泄物や餌の食べ残し、枯れた水草などが原因で発生する有害物質。毒性が一番強く、水槽内のアンモニア濃度値が0.02mg/L以上は、生体にとって悪影響を及ぼすでしょう。
アンモニアは水槽の立ち上げ期間の初期に発生しますが、水槽の立ち上げから2週間ほど経つと「ろ過バクテリア」の働きにより毒性の低い亜硝酸に分解されます。
【有害物質の特徴】亜硝酸(毒性:中)
亜硝酸はアンモニアが分解された物質。毒性はアンモニアより毒性は低いですが、蓄積されると熱帯魚が体調を崩し病気になりやすいです。
また、亜硝酸が多くなると、珪藻という茶色いコケが発生しやすくなるので、白カビや白濁りの原因に繋がります。
水槽内で亜硝酸が検出されても「ろ過バクテリア」の働きで、より毒性の低い硝酸塩に変化します。水質検査を行い危険な濃度数値の場合は、水槽の水を交換して物理的に亜硝酸を取り除くようにしましょう。
【有害物質の特徴】硝酸塩(毒性:低)
亜硝酸がより毒性が低くなり変化した物質が硝酸塩。熱帯魚に対しての影響はアンモニアや亜硝酸に比べると低いです。
また、水槽内の硝酸塩は水草が吸収してくれることがあるので、水草を植えている水槽では硝酸塩が問題視されることは少ないでしょう。
しかし、硝酸塩が蓄積されると熱帯魚に悪影響を及ぼすので、硝酸塩の濃度が100mg /Lを目安に水の交換をして物理的に除去することが一般的です。
【水槽立ち上げ期間〜熱帯魚投入】1週間に1回ずつ熱帯魚を追加
水槽内の水質検査をして最低限の「ろ過サイクル」が整っていることが確認できたら、熱帯魚を投入します。
「水質検査は面倒」という場合は、水槽設置から1週間を基準に熱帯魚を投入しましょう。
水槽に投入する最初の熱帯魚は、「パイロットフィッシュ」と呼ばれる丈夫な熱帯魚がよいです。
パイロットフィッシュとは、魚の餌を食べてフンを排出させることで「ろ過バクテリア」の増殖を促すために投入する魚のこと。水槽内の水質が不安定な立ち上げ初期から安定する時期にかけて投入されることから「テストフィッシュ」とも呼ばれている。
基本的に「丈夫な熱帯魚」はパイロットフィッシュとして使うことが可能。パイロットフィッシュの詳細は後述する「【水槽の立ち上げ期間短縮方法③】丈夫な熱帯魚を立ち上げ初期に入れる」で解説します。
最初の熱帯魚を投入し数日経過しても元気に泳いでいれば、1週間に1回ずつ好みの熱帯魚を増やしていけるでしょう。
【熱帯魚投入】熱帯魚を1〜2ヶ月かけて増やす
水槽を立ち上げてから1週間が経過し最初の熱帯魚を投入した後は、1〜2ヶ月の間に好きな熱帯魚の種類を1週間に1回ずつ増やしましょう。熱帯魚を増やすときの注意点は3つあります。
- 水槽の水質状態
- 先に投入した熱帯魚の健康状態
- 新たに投入する熱帯魚の順番
【熱帯魚を増やすときの注意点①】水槽の水質状態
新しい熱帯魚を投入する前に、水質検査で水槽の水質状態を確認しましょう。アンモニアや亜硝酸、硝酸塩が基準値を超えていないか確認するためです。
水質検査の計測結果が基準値を超えているときは、水の交換をして水質を基準値内に安定させることを優先します。新たな熱帯魚の投入は、水の交換してから2〜3日後にするとよいでしょう。
【熱帯魚を増やすときの注意点②】先に投入した熱帯魚の健康状態
熱帯魚を増やすときには、先に投入した熱帯魚の健康状態を確認することが大切。水槽内で先に飼育されている熱帯魚が病気の場合、新たに投入される熱帯魚に病気が感染する可能性があるからです。
「元気に泳いでいない」「身体に異常がある」といった熱帯魚の異変に気づいたときは、治療や水の交換を先に行いましょう。
熱帯魚の病状がよくなってから新しい熱帯魚を投入することで、他の熱帯魚への感染リスクをおさえることができます。
【熱帯魚を増やすときの注意点③】新たに投入する熱帯魚の順番
水槽内に熱帯魚を増やすときには、新たに投入する熱帯魚の順番に注意しなければなりません。小さくて性格が穏やかな魚から投入するようにしましょう。
小さく温和な熱帯魚よりも先に大きくて気性が荒い熱帯魚を投入すると、後に追加された小さな熱帯魚をいじめてしまうことがあるからです。
先に水槽へ投入された熱帯魚は縄張りを張りやすく、追加した熱帯魚よりも力関係で上になることが多いことが理由。
水槽内に同じ種類の熱帯魚を入れる場合でも、順番に注意するだけで熱帯魚が水槽内で生活しやすくなるか決まります。
水槽の立ち上げ期間を短縮する方法
水槽の立ち上げ完了までには、一般的に1ヶ月要します。必要な期間とはいえ「早く熱帯魚を飼育したい」と思っている人にとっては長すぎる期間ですよね。
ここでは、水槽の立ち上げ期間をなるべく短縮し熱帯魚の飼育を1日でも早く始められる方法を3つ紹介します。
- バクテリア剤を使う
- 種水を使う
- 立ち上げ初期に熱帯魚を水槽へ投入
【立ち上げ期間短縮方法①】バクテリア剤を使う
水槽を立ち上げる期間の短縮方法として、バクテリア剤を使い物理的に「ろ過バクテリア」の数を増やす方法があります。
「ろ過バクテリア」の数が増えれば、自然繁殖を待つ期間が短縮されるからです。
「ろ過バクテリア」とは魚の排泄物や餌の食べ残しから発生する有害物質(アンモニア)を分解しながら水を浄化するバクテリアのこと。水槽内の安全な環境をつくり出す役目を果たしている。
「ろ過バクテリア」の繁殖期間が短縮された分、水槽の立ち上げ期間を短縮できるでしょう。
バクテリア剤のおすすめは「GEX サイクル」。「ろ過バクテリア」が凝縮されている高濃度タイプで、「ろ過バクテリア」の数を一気に増やして働きを促進します。計量カップ付きなので初心者でも扱いやすいです。
【立ち上げ期間短縮方法②】種水を使う
種水とは、すでに「ろ過サイクル」が整っている水槽の水やろ材の一部のことです。新しい水槽を立ち上げるときは、種水を使うことで「ろ過サイクル」が短時間で整います。
既に立ち上がった水槽の砂利や水中には「ろ過バクテリア」が多く存在しているからです。本来なら捨てる水を新しい水槽の種水として使うので、別の水槽を持っている場合に使える方法です。
種水として使う量は、新しい水槽で必要な水量の3分の1程度。水槽の水や砂利を加えると効率的でしょう。
別の水槽がない場合は、釣りをしている川、エビや魚が住む綺麗な川の水を代用することができます。
【立ち上げ期間短縮方法③】立ち上げ初期に熱帯魚を水槽へ投入
水槽を設置してから1週間ほど経つと、水槽の中には「ろ過バクテリア」が繁殖し始めます。
しかし、熱帯魚を入れていない状態では「ろ過バクテリア」の餌となる有機物(熱帯魚の排泄物)が少ないので、「ろ過バクテリア」の働きが促進されません。
熱帯魚を数匹だけ水槽に入れると有機物が増えるので「ろ過バクテリア」の繁殖と働きを促進させます。結果的に「ろ過サイクル」が整いやすくなり、水質が早く安定するでしょう。熱帯魚を選ぶポイントは3つあります。
- 温和な熱帯魚
- 安い熱帯魚
- 丈夫な熱帯魚
立ち上げ初期に温和な熱帯魚を投入すると水槽内で陣取りをして、後からきた熱帯魚をいじめることがありません。
また、立ち上げ期間の水槽は、熱帯魚を実際に入れるまでは水質や水槽管理に問題があるか分かりません。金銭的ダメージを考えると安い熱帯魚を選ぶのが無難です。
丈夫な魚を選ぶ理由は、立ち上げ期間の水質は安定していないからです。丈夫な熱帯魚なら、悪い水質状況下でも力強い生命力で「ろ過サイクル」が整い始めるまで生き抜くことができるでしょう。
水槽の立ち上げ初期におすすめの熱帯魚は「アカヒレ」と「ネオンテトラ」です。
- アカヒレ
- ネオンテトラ
アカヒレは餌不足や水質の悪化などの悪い環境下でも生きれる丈夫な熱帯魚です。アクアリウム初心者でも飼育しやすく、水槽立ち上げ期間中に試験的に投入されることが多い熱帯魚。
熱帯魚の代表格ともいえるネオンテトラは、原産国である南米のアマゾン川流域では、茶色く染まった水に生息しています。
水温や水質変化に強いので、水質が不安定な立ち上げ期間でも飼育することができますが、水質がアルカリ性の場合は病気にかかりやすく、すぐに死んでしまうことがあるので要注意。
アカヒレとネオンテトラはどちらの熱帯魚も穏やかな性格なので、他の生体と共存することができます。
水槽の立ち上げ期間は1週間!最短で熱帯魚との生活を楽しもう
水槽の立ち上げ期間が完了するまでには1ヶ月かかります。しかし、水槽の立ち上げに必要な期間は、最短で1週間。
試験的ではありますが、熱帯魚が生きていける最低限の「ろ過サイクル」が整えば1週間で熱帯魚を飼育することができます。
また、「ろ過サイクル」が整っていない水槽の立ち上げ直後に熱帯魚を水槽の中に投入すると、体調を崩し病気になることがあるので注意しましょう。
本記事では、「水槽の立ち上げ期間から水槽へ熱帯魚を投入するまでの流れ」と「水槽の立ち上げ期間の短縮方法」を紹介しました。
- 【水槽立ち上げ期間】「ろ過バクテリア」を繁殖させる
- 【水槽立ち上げ期間】立ち上げ時の水の交換
- 【水槽立ち上げ〜熱帯魚投入前】水質検査
- 【水槽立ち上げ期間〜熱帯魚投入】1週間に1回ずつ熱帯魚を追加
- 【熱帯魚投入】熱帯魚を1〜2ヶ月かけて増やす
- バクテリア剤を使う
- 種水を使う
- 立ち上げ初期に熱帯魚を水槽へ投入
水槽の立ち上げ期間で重要なことは「ろ過バクテリア」が繁殖して定着することと「ろ過システム」が整うことです。
これらが機能していれば、アクアリウム初心者でも安心して熱帯魚を水槽で飼育することができます。
今回紹介した、水槽の立ち上げ期間を短縮する方法を取り入れながら1日でも早く熱帯魚がいる生活を楽しみましょう。